目次
総論
共通 Anemone が成立したと考えられる年を0年とし、この紀年法を便宜上 A 紀年と呼ぶことにする。
したがって、単に Anemone というときには、1 世紀から 4 世紀までの共通 Anemone を指す。ただし、方言やさまざまな変種があったと考えられることには注意する必要がある。
方言
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方言区分
方言は北部と南部に分けられる。北部方言と南部方言は相互に影響を与えながら形成されたため、共通語が安定して存在していたわけではないが、辞書や文法書では便宜のために共通祖先として考えられるであろう形を用いている (これを共通 Anemone と呼ぶ) 。
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南部方言
与格 -e が向格 -api に合流した。ただし、一部の機能は属格 -e に引き継がれた。
複数人称代名詞に、改新形の nānayi, sānayi, cānayi を使う。
アクセントはおおむね相対的な音の高さによって区別する。
音韻の面では、標準的な 5 つの母音と 19 の子音をすべて区別する。ただし、ā は後続の子音が 2 つのときに a と合流する。
c, j, s はそれぞれ後部歯茎音 [tʃ], [dʒ], [ʃ] で発音する。
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北部方言
与格 -e を保つ。複数人称代名詞も、より古い tā, sevā, vā を用いる。
アクセントは音の強さと高さで区別する。
音韻
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単音
母音は 5 種類が表記上区別される。ayi, eyi, uyi は実際には二重母音 [ai̯], [ei̯], [ui̯] で、ai, ei, ui とそれぞれ区別されない。南部方言においては CC の直前の ā は a である。
無声破裂音 p, t, c, k は弱く帯気する。有声破裂音 b, d, j, g は、北部方言において、母音の直後かつ直後に有声音が来る場合、有声摩擦音 [v], [ð], [z], [ɣ] になる。
南部方言においては c, j, s はそれぞれ後部歯茎音 [tʃ], [dʒ], [ʃ] だが、北部方言においては [ts], [dz], [s] である。
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音配列
子音連続は 2 つまで。語頭には子音連続は立たない。語末は必ず母音で終わる。単語内の母音連続は一般に嫌われる。
語根はほぼ (C)VC(C) であるが、動詞語根ではごくわずかな 1 子音語根 (gu「聞く」、hu「言う」、tu「知る」) がある。また一部2音節語根が存在する。
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韻律
Anemone の南部方言は syllable-timed よりむしろ mora-timed であろうが、各音節の長さは長短の 2 種類である。おそらく長音節が 2 モーラ、短音節が 1 モーラになる。長音節は、主母音が 2 子音に先立つときと、主母音が長母音ないし二重母音であるときとの 2 つであり、それ以外は短音節である。
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音変化
接辞や接語がつく場合、一定の規則に従って音変化が起こる。
アクセント
語中のアクセントの位置は、おおよそ屈折と派生によって決定される。
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格語尾のアクセント
格語尾は名詞類のアクセントを決定する。与格は -é, 具格は -í, 奪格は -ata, 向格は -ápi, 処格は -âka, 共格は -éntu, 属格は -e, 呼格は -ínna のようになる。
名詞と形容詞
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格の用法
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絶対形
- 文の主語として用いられる。また、同格的に主格補語にもなる。
- 動詞の直接目的語、および形容詞や副詞などの目的語になる。
- 呼格の代用として、呼びかけを表す。
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与格
- 典型定には授与動詞において、間接目的語を表す。
- 利益の対象・受益者を表す。
- 目的・到達点を表す。
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具格
- 道具・手段を表す。「絶対格 + vinniya」で置き換えることができる。
- -uyu などの受動的な動詞の行為者を表す。
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奪格
- 出発点を表す。
- 範囲の始点を表す。
- 比較の対象を表す。
- 原因・理由を表す。
- 材料・原料を表す。
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向格
- 方向・目的地を表す。与格とも重複するが、ふつうは到達を含意しない。
- 範囲の終点を表す。
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処格
- 場所・時間を表す。
- 条件を表す。
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共格
- 随伴を表す。
- 基準・情報源を表す。
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属格
- 所有・所属を表す。
- 関係を表す。
- 意味上の主語・目的語を表す。
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呼格
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呼びかけを表す。
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時制・相・法
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動詞の時制
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過去時制
過去時制は、一般に過去の出来事・状態を表す。過去の出来事のアスペクトは問われない。また、現在までに完了・経験した出来事を表す。完了・経験のアスペクトを明示するときは、juhu (完了) とturu (経験) を用いる。
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未来時制
未来時制は未来の出来事・状態を表す。その性質上、接続法に接近し、推測的になる。
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現在時制
現在時制は最も広い範囲で使われ、一般に現在の出来事・状態を表す。確定的な未来を表すときは現在時制を用いることもある。仮定や時の副文では未来のことも現在で表すことができる。また、歴史的現在として過去の特に状態を現在時制で語る場合がある。
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相助動詞
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juhu
助動詞 juhu は完了を表す。
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接続法の用法
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推量
主文の接続法は蓋然性・可能性の推量を表す。現在時制・過去時制で用いられ、未来時制では直説法を用いる。
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懐疑
主文や名詞節で、懐疑・思案・対比を表す。「...するべきかどうか」というような意味。
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Ahāyunimakkā ahandāyunima.
それを言うべきか、言うまいか。
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Suplusince yayāyusima?
これを買うか迷っているのですか?
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副文と法
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副文の時制
ふつう、副文の動詞の時制は相対時制になる。すなわち、主文の時制を基準として時制が決まる。
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非現実的な仮定・反実仮想
すべての時制において、仮定の副文に接続法が用いられると、非現実的な仮定や、事実に反する仮定を意味する。仮定の接続詞 elā は接続法とともに用いることができず、代わりに接語 -iffe を用いる。非現実的な仮定・反実仮想を受ける主文は、命令法を用いる。
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Amana burāyusiffe sāllindasi.
もしそこに行けば、死ぬだろう。
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Amaji ayukāyiheniffe nā tushindavenna.
あの時戻っていたら、私は人々に謗られただろう。
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現実的な仮定・条件
現在と未来において、仮定・条件の副文に直説法が用いられると、事実の仮定・条件を表す。未来においては、命令法 -indacce を用いる。
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事実
事実の副文には、不定詞を用いる。または、直説法の動名詞を用いる。
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Ipna disi haddandummi atandiheni.
私は食べ物が十分にないことを知らなかった。
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Ama uhmā barrihiya ajiheni.
あの馬は売ったと聞いた。
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時・場所
時の副文には -ji を使う。
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Papkurata asinduniji basma juhihe.
町を出たときに雨が降ってきた。
場所の副文には -na を使う。
-ji と -na は先行詞と同格で結んでもよい。
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さまざまな構文
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使役構文
動詞を使役化する接語は -epu がある。他動詞の使役文は二重対格になる。
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Niha sapa burepihe.
父は子を行かせた。
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Niha sapa yasa erepihe.
父は子に水を飲ませた。
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受動構文
受動文は、「主語 + 不定詞与格 + haddu」で作られる。意味上の主語は不定詞にかかる属格名詞で表す。
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sisyāpa ānsiye haddu.
立派な人は尊敬される。
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Ayi xidda dunganje durhiye haddihe.
この男は猛獣に殺された。
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Sapa nihe yasa erepiye haddihe.
子は父に水を飲まされた。
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